階段のまんなか

東南アジアに渡った年ついに自分の心と向き合わざるを得なくなった。心理カウンセリング、ヒーリング、レイキ、瞑想など。最近は思いつくままいろいろと。

本当の自分になるために 5 - 動き出した体(前)

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ルアンプラバンのホテルから見えた景色

ある相談室との出会い

この頃は、最初のカウンセリングをしたときから、3ヶ月くらい経っていた頃だったけれど、相変わらず、昼に夜にやってくる極度の孤独感と絶望感は、まったく消えることがなくて、その孤独感にとうとう耐えられず、カウンセラーを1人増やして2人目となる人のセッションを受けはじめていた。1人目のカウンセラーは予約が早くても一ヵ月先、というのがもう耐えられなくなっていたからだ。

 

そんな中で、ダブルバインドと言う言葉に導かれるようにたどりついたブログ、インナーチャイルドを癒し、最終的にその人の心の「自律」を目指すカウンセリング、とあるところは、他のカウンセリングと大差はないように見えた。でも、この相談室のブログでたくさんのページを割かれていたのは、耐え難い不安感情と孤独感とそれに向き合っていく、というカウンセリングのプロセスだった。まるで今の私の状況がそのままブログで分析されているような錯覚すら覚える解説や分析、苦しくて当然である、という文章に、目が画面に釘付けになった。

 

さらに、ここがユニークだったのは、クライアントが話したいタイミングで、話したいだけ時間をかける、というカウンセリングスタイルだった。だから、一回の面談時間の制限がなく、何時間にもおよぶことめずらしくないという。そして、営業時間は決められているけれど、その時間内であれば、いつでもカウンセリング目的で連絡してもよかった。この、話したい、と思ったときの心の動きが、インナーチャイルドヒーリングのカウンセリングプロセスではとても重要であるからだそうだ。

 

不思議なことに、その後、カウンセリングを受け始めてから、いつでもかけたいときに連絡してカウンセリング、というこのシステムを、私は今日まで実際には利用していない。カウンセリングはいつも予約してからだった。話したいと思ったとき、話せる人がいる、平日を待てばいつでも電話の向こうで控えている。現実はともかく、そう思えただけで、もうある部分の切迫した孤独感は癒されていたからだった。

 

このシステムによる安心感がこれほど心の平静を取り戻すとは、実際にカウンセリングが始まるまでは私自身も想像できないものだった。申し込みが受領されて、さっそっくカウンセリングの予約が決まったとき、たとえ人に大げさと言われることがあろうと、命を救われた、と私は心底思っていた。

 

カウンセリング申し込みメールを送ってからも、食事や風呂、寝る時間以外のすべてを2000年の初め頃から書かれている膨大な量のブログを読む時間に費やした。
自律には時間がかかる、というブログの言葉は、焦りがちな気持ちを落ち着かせてくれたけれど、ブログから得る新しい知識の量は、とても多かった。まるで自分のことをそのまま分析しているような現場のカウンセリング例を読みながら、そうだったのか、と何度も思うものの、言葉の羅列が頭の中をぐるぐるしている状態がほとんどだったかもしれない。

 

そんな中で、読んですぐに、心に深く刻まれた言葉があった。たどりついた相談室のブログの筆者で、カウンセラーであるNさんの「徹底的に、かりに他人が身勝手といおうとも、自分が楽しいことだけをして、嫌なことをやめる」だった。それほど、特別な言葉でないし、それまでも同じようなアドバイスは受けていたはずなのに、このときの私には、まるで初めて聞く言葉であるかのように強い力を持って響いた。「楽しいことだけをする」と「嫌なことはしない・やめる」は同じの意味のはずなのに、私の頭の中の「楽しいことをだけをする」の言葉には「嫌なことはしない・やめる」が、もしかしたら含まれていなかったのだろうか、とふとそんなことに初めて気づいた気がしたからだ。そして、この言葉が私の中のある言葉にも命を吹き込んだ。

 

「絵を描いたり、運動したり、手を使い、歩いたり体を使うこと」は、体を動かせないただの言葉だった。それが動き出したのがこのときからだったと思う。そして、同時に、やりたくなかったらやらない、を頭の中から引っ張り出すことができたのもこのときが初めてだったかもしれない。「威圧感を感じ始めていたカウンセラーとのカウンセリングを辞めよう」とようやく考えることができていた。

 

今まで動かなかった体が、急に軽くなったような気がするのは、感動的な気分ですらあった。そして、このときむしょうに自然の中を歩き回りたくなった。f:id:mokomarutan:20151113005026j:plain市内は車やバイクが多すぎて散歩には向かないのだ。だから、緑の多い場所に旅行に行こう、と思った。そして、あれほど頼りにしていた今までのカウンセラーとのセッションをキャンセルして、今すぐ行こうと思った。

 

(書いているうちにどうしてもタイトルの追加や修正が必要だったりして、あとから変えたりしています。すみません)

 

本当の自分になるために 6 - 動き出した体(後)
本当の自分になるために 4 - ダブルバインド
本当の自分になるために 目次

 

 

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